B3-8 カエルの観察3(神経・筋肉)

基本情報

ウシガエルの各部位の情報

表1 ウシガエルの各部位の情報

ニワトリとヒトの脳・神経各部の大きさ比較

表2 ニワトリとヒトの脳や神経各部分の大きさ比率

ウシガエルとヒトの筋肉・神経の比較

表3 ウシガエルとヒトの筋肉・神経の比較

考察のポイント

ウシガエルとヒトの筋肉・神経の比較

1.表情筋の有無

ヒトには表情筋がいくつか顔にあるが、カエルにはない。カエルは表情を作ること、眼の開閉、会話などの行為を行わないため、発達していないと考えられる。

2.頸部の筋肉

人の首の部分には様々な筋肉が付いているが、カエルには首がなく、下顎を動かす筋肉しかない。ここから、カエルの消化は咀嚼を行うものの、人間よりも消化を胃や腸の働きに頼っていると考察できる。また、カエルは左右の眼の横向きであるため視野が広く、頭部を回す必要がないため、首を形成していないと考えられる。

3.横隔膜の有無

ヒトは横隔膜によって腹部と胸部を仕切っているが、カエルは肋骨が退化し、さらに横隔膜を持たないため腹部と胸部の区別がない。カエルは口を膨らませて呼吸する方法と皮膚呼吸で自身の酸素供給が足りているため、人間のように横隔膜と肋骨を利用した呼吸法は不要であったと考えられる。

4.脚部

カエルは飛び跳ねる動作を活発に行うため、ヒトよりも発達した後足の筋肉を必要とする。ヒトよりも多くの筋肉が組み合わさり、高飛距離、長滞空の跳躍を可能にしている。

5.神経

カエルはヒトと同じ脊椎動物であり、中枢神経としての脳や脊髄をもち、基本的には同じ構造である。ただし、両生類の神経細胞は欠損すると自然に再生する機能をもつという点で、哺乳類とは異なる。哺乳類の神経細胞は一度傷つくと修復するのは困難である。また、恒温動物であるヒトの神経の伝達速度は一定であるのに対して、カエルの神経は体温(外気温)によって変化する。温度が高いほど神経伝達速度は上昇する。加えて、殺虫剤に含まれるピレスロイドという成分への反応も異なる。ピレスロイドは哺乳類に対してはほぼ無害であるが、両生類に対しては神経毒として働く。

ニワトリとヒトについて

1.小脳

ニワトリは、若干人に比べ小脳が発達していることが確認できる。鳥類は飛行すするために、体の平衡、運動機能が複雑である必要があるため全体として小脳が発達しやすい。しかし、ニワトリは飛ばない鳥であるため、他の鳥類と比較するとそこまで発達していないと考えられる。

2.松果体

松果体はメラトニンを分泌し、睡眠を促し、昼夜のサイクルをコントロールする。ニワトリが早朝から覚醒するのは、鳥類の松果体がヒトと異なり、頭蓋骨のすぐ下に位置し、骨が薄く光が透過しやすいことかあ、弱い明かりでも感知できるためと考察できる。また、フクロウなど夜行性の鳥類の松果体はそこまで発達していないと考えられる。

3.視葉

鳥類はヒトと比較し、活動の中で視覚に頼る比率が大きい。そのために鳥類の中脳や視葉は発達している。また、他の鳥類とくらべ、ニワトリは聴覚の発達も著しく、ニワトリの首を前後に振る動作には泣いて周囲の音を拾いながら他の個体とコミュニケーションをとる目的がある。

参考文献リスト

近畿大学医誌第19巻2号 古村晶雄 1994年

ジロー
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