現代錯誤 不条理で理不尽

 こんばんは。不条理理不尽ランキング五週連続首位の現代錯誤のお時間です。

 冬。冬といえば入試。今年、とある大学の入試に「不条理なことを書け」という問題が出ました。ちょっと一緒に考えてみましょう。まずは不条理の定義から。

 論理が成立していない事柄。

 現代錯誤第一回、意味の意味の意味でもお送りしたように、まずは僕なりの定義から。では次に辞書の定義をご紹介します。

 物事の筋道が通らないこと。

 大体あってましたね。よかった。

 さて、筋道が通らないこと、身の回りにたくさんありますよね。ちょっと考えてみてください。人によってぱっと思い浮かぶことは違うでしょうが、多分ここで思いついたことはあなたが日ごろから抱えている不満とかなんでしょうね。

 試験ではこれをたくさん書くことが求められたわけです。僕はこの問題を見た時、この問題こそが不条理だなと感じました。なんでかって、不条理なことがらをたくさん書けるというのも考え物だからです。たくさん書けるということは、それだけ日常に不満を抱えているのか、はたまた、他者の抱えている不満を察知することに敏感なのかわかりませんからね。なにを求めてこの問題を設定したのかに悩みました。

 普通、試験時間中にこういう類のことは考えないほうが良いものです。ただ、こういう問題を出してくる学校なわけですから、裏の裏くらいまでは読み取ったほうが良いのかもしれません。考えてみましょう。

 不条理なことというのは、言い換えれば困っている人がいることでもあります。そうとらえるとこの問題は「社会の潜在的な問題を照らし発見する能力」を問うているようにも考えられます。ならば、いわゆる「上級国民」問題とか、「家庭内暴力」問題みたいなのを取り上げればいいわけです。要するに、「広い、ライト機能の付いた目」が求められているわけです。

 あるいは、日常に転がっている不満の類を発見し拾い上げさせたいのかもしれません。不条理なことは案外日常にも転がっているものです。「試験会場が寒いのにカイロの持ち込みを禁止される」みたいな。こう捉えるなら、「狭い範囲をくまなく探せる目」が求められていると考えられますね。

 どちらも社会に出るためには大事なことです。マクロな視点を持つべき時もあれば、ミクロな視点を持つべき時もあります。ただ、対照的な視点を同時に、しかも試験時間内に持つことが求められるというのは、大変難しいことだなと思います。ぱっと見では不条理な問題でありながら、実際には「社会に求められていること」を実直に反映させられた、明快な論理を持ち、そして求める問題であったわけです。これこそ不条理な気もしますね。受験生に求めるには。

 ではまた。

貫通錯誤
カードゲームとボードゲーム(ゴールデンエッグラー,mtg,シャドバ,Blade Rondo,自作など)を嗜んでいます。カードゲーム、音楽、動画についてなどと、根強いファンを誇りたいショートエッセーの現代錯誤という連載を書いていきます。
noteでも(ほぼ同じ内容を)公開しています。⇒https://note.com/sakugo_suzuko

コメント

タイトルとURLをコピーしました