記念すべき第1回の取材は長谷部光男さんです。藤沢市打戻で営まれている長谷部農園を訪ね、取材しました!
いざ、長谷部農園さんへ
長谷部農園さんは主にいちごの生産を行っていらっしゃるとのこと。いちご大好きな私にとってはその情報だけでワクワクでした。
小さい頃からいちご狩りはよく行っていたので、いちごの果実がなっている様子は見慣れた光景に感じていました。しかし、今はまだ全然いちごの季節ではない、どころか、農業に携わったことのない一般ピープルからすると、まるでスポーツ選手のオフシーズンのような、そんな時期なイメージだったので、今の時期はどんなことをされてるのだろう…と、思いながら長谷部農園さんに向かいました。
見慣れた慶応大学バス停を通り過ぎ、そのまま進んでいくと一気に街の雰囲気が代わり、一面畑、畑、畑…。
神奈川にもこんな場所があるんだなぁ…
なんて少し驚きながらもバスに揺られていました。そして榎戸バス停に到着、バス停の道を挟んですぐ向かいが長谷部農園さんでした。
「優しさの農業」
とっても暖かく受け入れてくださった長谷部さん。なんと、4年前にサラリーマンを辞めて就農した、新規就農の方でした。「どうして農家さんになられたんですか?」と尋ねると、「一生体を動かして働けるから」とのこと。
いや、めちゃくちゃかっこいいじゃないですか。
確かに、農家さんは退職とかないですよね。だから大変だと思っている人も多いと思います。確かに大変だと思います。でも、間違いなくそこが農業の一つの大きな魅力なんだな、と気づきました。新発見、大発見。
そんなこんなで、2時間近くにもわたり、畑やハウスを見せていただいたりいろんなお話を聞かせていただいたりしました。その中で私は、長谷部さんの農業を表す、ある一言が脳裏に浮かびました。
ズバリ、長谷部さんの農業は、
「優しさの農業」
なんだと思います。
無知な私が、勝手にこのように分析するのは大変おこがましいことは承知の上でこんなことをしております。でも、本当に長谷部さんの農業には優しさが詰まっているな、と感じずにはいられませんでした。
というわけで、ここからは長谷部さんの農業の優しさポイントについて、語らせていただきます。
優しさポイント①
まずは、優しさポイント一つ目。今って、ちょうどいちごは苗を育てる時期らしいんです。その間に、育った苗を植える培土を消毒するんだそう。その消毒には多くの場合クロロピクリンという農薬を使うようです。
でも、長谷部さんはそれを使っていない。
培土にビニールを張って、太陽光を利用して高温にして消毒しているとのこと。ちょうど消毒中のハウスを見せていただいたんですが、全部手作業でビニールを貼り、温度管理をし、というのを想像したらただならぬ手間だな…と思いました。それでも、農薬の使用を最小限にするために、手間のかかる消毒の仕方を選んでいるんです。
やっぱりかっこいいなあ。
しかも何がすごいって、長谷部さんは畑を全てほぼ一人で管理しているんです。
「農家は言ってみればブラック企業のようなものですよ(笑)」
と、おっしゃっていた長谷部さん。でもやっぱり、自分で育てる楽しさは農家しか感じることができない。農家さんって、どうやら私が思っていた以上にかっこよくて、魅力的な職業みたいです。
優しさポイント②
そして、もう一つの優しさポイント!これは私が個人的にお話を聞いていて特に面白いな、と思った部分なんですが、なんとなんと、ミツバチにめちゃくちゃ優しいんです、、、!
たぶん、今「ミツバチ」という一言を出したことでいまこれを読んでくださっている8割くらいの人の頭の上にはてなマークが浮かんでしまったことでしょう。ちゃんと説明しますね。笑
いちご農家さんは、みなさんいちごを受粉させるためになんらかの虫を飼っているそうなんです。無菌のハエやクロマルと呼ばれるハチの仲間など。そのなかで、長谷部さんが受粉用に飼っているのが、ミツバチなんです。
長谷部さんが飼っているミツバチは6郡、1群が6000~10000匹らしいので単純計算で36000~60000匹、もはやどのくらいかよくわからないですがとにかくたくさんですね。ちなみに、巣箱1箱のことを群と呼ぶそうなんです。無知な私はそんなことすらも知らなかった…
ミツバチ思い!?
そして、ここからは(ここまでもですがここから特に)完全に私がお話を伺っている中で感じた、という部分なんですが、とってもミツバチ思いなんです、長谷部さん。教えていただいたお話としては、どうしても薬剤を撒かなければいけないタイミングでは、ミツバチをハウスの外に追い出す、とか、巣箱の管理について、とか。もしかしたらいちご農家さんに取っては当たり前のことなのかもしれません。しかし、長谷部さんが説明の際に「ミツバチのためにも、このようにしている」と繰り返していたことに、私はミツバチを思う気持ちを感じざるを得なかったのです。
一番私が感銘を受けたのは、春になると新しい女王蜂が生まれるが、それを防ぐために毎週巣箱の中をチェックし、もし王台ができていたら、取り除くという作業をしているという話の時でした。
王台とは、新しい女王蜂を育てる場所のことなんだそう。王台がなければ、新しい女王蜂が生まれることはないのです。新しい女王蜂が生まれると何が起こるのかというと、前・女王蜂は巣箱の中の半分くらいのハチを引き連れて新しい巣を作りに出て行ってしまうのです。
もちろん、受粉用に飼っているハチの数が半分ほどに減ることはかなりの痛手になるという事実は、王台を取り除いて新しい女王蜂が生まれることを防ぐ、一つの大きな理由ではあると思います。
ですが、長谷部さんはそれだけでなく、やっぱりここでもハチのことを思っていらっしゃいました。実は、ミツバチは自然の中に出てしまうと、スズメバチなどに食べられてしまい、生きられないんだそうです。
だから、長谷部さんは王台を取り除くという作業をすることによって、同時にミツバチを救っているのです。
優しい、本当に。
「いちばんおいしいものを、いちばんおいしい状態で、届けたい。」
優しさの詰まった長谷部農園の野菜、長谷部さんの想いと共に、ぜひ、いただきたいですね。
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