基本情報
ベニシダ
・オシダ科
・体の全長:82cm
・葉の形:2回羽状
・根茎の様子:斜上
・脈の様子:羽状脈
イヌワラビ
・イワデンダ科
・体の全長:25cm
・葉の形:2回羽状
・根茎の様子:斜上
・脈の様子:羽状脈
考察のポイント
シダ植物の生活環
シダ植物は受精後、受精卵から発芽し幼胞子体となり、一定期間を経て成長し胞子体となって胞子を蓄える。この状態までは無性世代(2n)と言われる。その後、減数分裂により、有性世代(n)へと変化する。有性世代では、胞子2つが合わさってできる配偶体(前葉体)と呼ばれる造精器で精子が生成されるそして、同じく前葉体の造卵器で卵細胞が生成され、受精が行われる。受精により再び無性世代(2n)の細胞が誕生する。
被子植物の生活環
被子植物は受精後、受精卵が種子へと変容する。若い胚が種子の中で育ち、やがて発芽し花が咲いて胞子体となる。その後、雄しべと雌しべに分離する。ここまでが無性世代であり、受精の準備ができると減数分裂し、無性世代から有性世代になる。有性世代では、花粉(雄性配偶体)が胚嚢(雌性配偶体)につき花粉管が伸びて受精を行う。そして、受精卵が誕生し再び無性世代となる。
胞子で殖える利点・欠点
胞子で繁殖する最大の利点は、一度に大量生産が可能であることである。胞子はその形状が極めて小さいので、小さなソーラスからでも多量に生み出すことができる。対して、欠点は保存性の低さである。胞子は非常に弱く、水に触れると容易く腐り、本体を保護する役割の種皮がないために長持ちしない。種子植物は種子を胞子のように大量生産できない一方で、ヤシのように海を越えて広げたり、虫媒花や風媒花などの種子を移動させる手段を持つ。圧倒的な繁殖力の差から、太古から存在したシダ植物は、日向を種子植物に奪われ、日陰に追いやられたのである。
シダ植物の葉のヒダ
シダ植物の葉の多くはヒダのような形状をしている。その理由は表面積の拡大のためと考えられる。表面積が大きいほど葉の裏のソーラスの形成と光合成に有利になるため、特殊な形状をしていると考察する。
参考文献リスト
シダハンドブック 北川淑子 文一総合出版 2007年