連載第7回です。
前回は放射線の仕組みについて扱いました。
気になる方は化学アレルギーへの処方箋#6 放射線を理解しようをご覧ください。
今回はやや勉強チックな話
始める前に、化学アレルギーへの処方箋#1 化学とは?で説明した、この連載におけるアンダーマーカーの使い方を確認しておきます。
青アンダーマーカーが引いてある部分は重要な内容です。ここだけでも理解していただけたらと思います。
赤アンダーマーカーが引いてある部分はプラスαの内容です。化学アレルギーの方は飛ばしてもらって大丈夫です。
では早速始めていきましょう。
第7回のテーマはこちらです。
元素たちに共通点はある?
“周期表”について扱っていきます。
頑張っていきましょう!
さて、前回まで元素,原子についてやってきました。
今回が最終回です。
今回はよく聞く”周期表”の仕組みについて説明します。
周期表とは以下のようなものです。
少し前のものなので112番までしか書かれていませんが、現在は113番~118番が112番の続きの位置にあります。
では周期表の3つの謎に迫っていきます。
Q1.どのような理由で配置されている?
周期表はなぜあのような形になるのでしょうか。
一番簡単な説明は原子番号順に並んでいる、です。
原子番号とは各元素についている出席番号で、また陽子の数や電子の数と一致していました。
元素は常にアルファベット1文字or2文字の元素記号というもので書かれます。
周期表のアルファベットは全て元素記号を意味しています。
その元素記号の上に書いてある数字が原子番号です。
確かに左上から右下に進むにつれてしっかり大きくなっていっています。
ではこれは完璧な説明でしょうか?
いいえ違います。
もしそれだけが理由であれば、一直線に118個並べてもいいはずです。
少なくとも凹の形をとる理由はありません。
周期表の形の真の理由は、電子配置です。
つまり、各元素の電子がどのような配置になっているかで分類されています。
縦に並んでいる者たちの電子の配置は似ています。
例えば3番のLiと11番のNaは共に一番外側の電子が1つです。
Q2.この配置にしているメリットは何?
ではなぜ電子配置が似ているものを縦に並べるのでしょうか?
電子配置は原子番号などから直接的には分かりませんし、これが最も一般的になるのはやや違和感があります。
その理由は電子配置が似ていると性質も似ているからです。
電子配置と言っていましたが、特にもっとも外側の電子配置が主になっています。(もちろん例外もありますが)
外側の電子配置が同じであれば性質は同じです。
その理由は簡単です。
化学反応などは常に原子同士が衝突して起こりますが、当然衝突する時に最初にぶつかるのは外側です。
つまり、外側の電子配置が同じということはぶつかる時に反応する様子が同じということです。
同じようなものが反応すれば当然同じような性質を示します。
周期表の列(縦)をそれぞれ”族”と呼んでいます。
上述の理由により、族は性質が似通っていることが多いです。
特に特徴的な族は名前が付いています。
例えば一番右側の列は18族と呼ばれ(数えると18列目なので)、貴ガスという別の名前が付いています。
貴ガスはヘリウム,ネオン,アルゴンなどのことで、ネオンサインなど日常生活で目にすると思います。
Q3.下に出ているはみだし者は誰?
周期表をよく見ると57番~71番と89番~103番が下にはみ出ています。
これは何でしょうか?
これらは57番~71番がランタノイド、89番~103番がアクチノイドと呼ばれます。
名称の理由は単純で57番の元素がランタンで89番の元素がアクチニウムだからです。
ではなぜランタノイドとアクチノイドは周期表に組み込まれないのでしょうか?
この理由も電子配置で説明することが出来ます。
原子番号と電子の数は一致しているため、57番の元素には57個の電子がありますし、71番の元素には71個の電子があります。
つまり原子番号が1大きくなると電子の数が1つ増えますが、増えた電子はどうなるでしょうか?
これは簡単なことで、どこかの軌道と呼ばれる場所に収納されます。
これは電子を入れられる箱だと思ってもらえれば大丈夫です。
ランタノイドとアクチノイドは、その箱がやや他と違うというわけです。
何よりここまで電子配置について詳しい言及は避けていましたが、常に重要なのは箱の種類です。
現在箱の種類は4種類あることが分かっています。
周期表を見ると、左右に1つずつ高いエリアがあり中央に若干低いエリアがあると思いますが、これらでも箱の種類が違います。
左側の2列(例えばNaやCa)はsと呼ばれる箱に電子が入っていきます。(1つ前の原子番号の元素から電子が1つ増えた時にそれを収納する場所のことです)
右側の6列(例えばSiやBr)はpと呼ばれる箱に電子が入っていきます。
中央の低い10列(例えばFeやAu)はdと呼ばれる箱に電子が入っていきます。
そしてランタノイド,アクチノイドはfと呼ばれる箱に電子が入っていきます。
箱の種類で周期表の形を決めているということです。
ではランタノイド,アクチノイドも高さを変えて箱の種類が違うことを分かりやすくすればいいんじゃないでしょうか?
それはその通りです。
ランタノイドとアクチノイドを態々外に出す必要性はありません。
ただ、外に出さないと横に長い形になってしまい扱いにくいため、多くの場合外に出しているに過ぎない訳です。
もちろんランタノイドたちを特別扱いせず横に長くしている周期表も存在します。
如何でしたか?
周期表の仕組み、その周期性の秘密が分かっていただけたと思います。
周期表の”周期”とは電子配置の周期性を意味していたんですね。
普段耳にする/目にすることはあるけど実は奥深いのが周期表です。
またいつかもっと紹介したいですね。
次回以降も化学アレルギーに関係なく読んでいただけたら幸いです。
では、終わります。
今回のまとめ
- 元素を原子番号順に並べた周期表という表がある
- 元素は基本的にアルファベット1文字or2文字の元素記号で表記する
- 周期表は電子配置で最終的な場所を決定している
- 電子配置が似ている元素同士(=同じ族の元素)は性質が似ている
コメント