※本記事では、取り上げたい配信をファンが分かりやすくまとめた「切り抜き動画」を掲載しています。興味がある人はぜひ、Vtuber本人の生配信やアーカイブを見に行ってください。
昨年、バーチャルユーチューバー(通称Vtuber)が注目を浴びた話題があったのを皆さんはご存じでしょうか。それがスーパーチャットの年間累積額の世界ランキングです。
ちなみにスーパーチャット(以降スパチャ)とは、購入金額に応じて色と固定時間の変わり、ライブ配信で固定表示されることで目立つコメントです。もっと簡単に言うと、お金を払ってするコメントです。
スパチャの年間額のランキングは、世界中のYouTubeチャンネルの視聴者評価を収集してランク付けしているサイトであるPlayboardが発表しています。このランキングによると、TOP10のうち、7人が日本のVtuberでした。これは2020年8月24日に発表されたものですが、現在(2021年1月16日)確認するとTOP10のうち9人が日本のVtuberという結果でした。
Youtube Most SuperChated Ranking – PLAYBOARD
https://playboard.co/en/youtube-ranking/most-superchated-all-channels-in-worldwide-total
この結果を見て、Vtuberを見たことない人達はきっとこう思うと思います。
「なんでVtuberたちはこんなにもスパチャを集めることができているのか」
私はこの理由が二つあると思っています。
一つ目は、生配信が多くのVtuberの活動の中心になっているからです。
Vtuber登場以前のYoutuberの多くは、事前に撮影して編集した動画を投稿することが活動の主流だったと思います。実際、キズナアイさんや電脳少女シロさんなどVtuber登場初期を担った方たちも動画投稿を活動の中心においていました。
しかし、現在世界規模にまで活動が拡大している大手Vtuber事務所のにじさんじやホロライブに所属するVtuberの方たちはほとんど生配信のみで活動しています。
Vtuberが生配信をメインで活動することで、彼ら彼女らのファンたちはVtuberたちに認知されるために、コメント欄でより目立つことのできるスパチャを多用するようになるというのは自然な流れだと思います。
二つ目は、スパチャの金額が注目されるようになったことです。
この傾向が顕著になったと私が感じるようになったのは、2020年に入ってからです。
それ以前は、スパチャをあまり要求しないVtuberに対してリスナーが過剰にスパチャをしてその反応を楽しむことが稀にある程度でした。にじさんじ所属の加賀美ハヤトさんをリスナーが「スパチャで殴る」配信が私の中では印象に残っています。
2019年までは、スパチャは本来の目的通りの使われているように感じていました。
しかし、2020年に入るとVtuber界隈は大きく変化しました。
この変化のきっかけは、2019年末にホロライブからデビューした桐生ココさんです。
彼女は流暢な英語と情報発信能力の高さで、彼女と彼女の所属するホロライブの他のメンバーたちの国内外での認知度を向上させ、結果としてファンの急増につながりました。
ファンが急増し、生配信を視聴する人の母数が増えたことで自然とスパチャをする人は増加しました。しかも、以前とは比にならないほどの急増でした。
その顕著な例が彼女の収益化配信です。
この配信では約15分の間、コメント欄がスパチャで埋め尽くされるという異常な光景を見ることができます。
このとき、話題になったのはスパチャの量と、そして金額です。
これ以降、コメントを目立たせるはずだったスパチャは、コメントとしての側面よりも金としての側面の方が強くなってしまったと感じています。
以前紹介した「スパチャで殴る」文化はさらにエスカレートして、記念配信ではない、何気ない雑談配信やゲーム配信でも多額のスパチャがされるようになりました。
加賀美ハヤトさんの雑談配信やホロライブの夏色まつりさんのAPEXのガチャ配信がこの代表例だと思います。
これらの配信におけるスパチャはどちらも最終的な目的がリスナーの自己主張ではなく、目標金額への到達になっている点が共通しています。
また、桐生ココさんのリスナーがする特徴的なスパチャである、「虹スパチャ」や「水流し」などはスパチャ芸と呼ばれ、金額すら目的としない、コメント欄上のいち演出のためのスパチャです。
このようにVtuberに対するスパチャの目的は、自己主張から配信の演出の一つへと変化していきました。目標金額の到達もスパチャ芸もどちらもそれを見たVtuberの反応を楽しむという目的においては共通しています。また、リスナーの立場に立った場合でも配信の盛り上がりの一つに貢献しているという面ではメリットなのかもしれません。
しかし、これらのスパチャには金銭が伴います。推しのためにお金を使っているといえばいいかもしれませんが、アイドルのグッズやCDを買うのと違って、スパチャは手元に物質的なものは残りません。物質的なものが残らないならせめて、そのスパチャで推しが自分に対して反応してくれるような、自分のためになるスパチャをしてほしいと個人的に思っています。ですがその反面、Vtuberファンの急増や今回紹介したようなスパチャ文化の常態化によってリスナー個人の自己主張が届きづらくなってしまっているのもまた事実なのだと思いました。
Vtuberとお金、特にスパチャに注目して書かせていただきましたが、今後もこれらのトピックに注目していきたいと思うと同時に、これを読んで少しでもVtuberに興味を持っていただけたのなら幸いです。
コメント