高校論文 文章の作法 第一回 読点を制する

 突然ですが、皆さんはトビログにおける記事の文章について、何か感じることはありますか?常々思っていたのですが、文章、読みやすくないですか?現代において、人々のコミュニケーションは、「人と話す」「メッセージを送る」から成立しています。これらは「話し言葉」と「短文」の集合体なわけですから、現代ではブログも含めた「長文」を書く機会は確実に減ってきていると言えます。トビログのライターはその割に、壊滅的な日本語を用いることや、読んでいると突っかかってしまう点のある文章を書くことが少ないと思います。「一般に期待されている」よりかははるかに良質な記事が書かれているわけです。では、手放しに褒められるかと言ったらそうではありません。僕を含めたライター全員の文に、おそらく改善の余地があります。本稿『日本語文章の作法』は、僕を含めた記事に関わる全員が美しい日本語作法を習得するために存在します。僕自身が常日頃標榜している「あるべき日本語像」と、一般の学説を照らし合わせながら、「私の理想の日本語」を形成することが目標となります。

 と、ここまで本の前書きみたいな内容をお送りしましたが、言ってるほど「固い」ことは扱いません。僕の考える日本語作法を手元にある本と照らし合わせることで確認していきます。なお、主に野内良三氏による、『日本語作文術 伝わる文章を書くために』(中公新書)を参考にしております。本シリーズが皆さんのお役に立つことを願って、この辺りで前書きを締めます。

文章の構造を制する。

 文章、文とは何か。あえて言うなら、それは「伝えたいもの」を伝える手段の一つです。そのため、当然ながら文章を書く際には「伝えたいこと」をはっきりさせる必要があります。具体例を見てみましょう。

なんのbotかというと、記事が更新された時に、botがSlackに通知してくれるというbotです!
from https://tobilog.net/330/

 管理人のとびうおの文章を拝借しました。(快く許可してくれてありがとう。)では、この文の要素を抽出していきましょう。この文の概要を言え、と言われたらどう答えるべきでしょうか。おそらく、「botの解説」が正しいものとなります。自動的に主語は「(この)bot」になります。次に、この文を読むことで得られる情報はなにでしょうか。それはこのbotが「記事の更新時にSlackに通知」するということです。上の文を添削すると以下のようになります。

なんのbotかというと、(このbotは)記事が更新された時に、botがSlackに通知してくれるというbotです(ます)
⇒このbotは、記事の更新時、Slackに通知を送ってくれます。

 添削例にあるように、この文章は「bot」という表現を多用しすぎています。整理すると「なんのbotかというと、botです」のような形になってしまっています。日本語は主語を省略してもよい言語ですが、特に書き言葉の場合、主語を明らかにすることが重要です。この文の場合、主部は「このbotは」で、述部は「通知を送ってくれる」部分になります。述部は必ず文章の最後に置くことがまず必要です。その上で、主語と述語の関係性は必ず頭に入れながら文章を書いていくことが重要です。

読点を制する。

 読点はご存知でしょうか。「、」のことで、文において区切りを示すために使われます。読点の打ち方の洗練は文章表現術のレベルアップに直結します。簡単な例から見ていきましょう。

①僕は、トビログの、ライターです。
②僕は、トビログのライターです。
③僕はトビログのライターです。

 これを見てどのような印象を受けますか?文節ごとに読点を打った①は流石に稚拙すぎます。「僕は」の後の読点以外、差異がない②と③には大差がないように思われるかもしれません。しかし、②は「話す際の息継ぎ」を基準とした読点の打ち方であると言えます。所謂「演説」のようなシチュエーションです。つまり、②は「話し言葉」に近い文であり、表現としてはふさわしいとは言い切れません。「それだけで?」と思われるかもしれませんが、助詞の「は」というのは「遠くの言葉」にかかります。以下の例を見てみましょう。

僕は平成に生まれて○×大学を卒業後公務員になった。

ではこの文を文節ごとに区切った上で修飾関係を整理しましょう。

僕は/平成に/生まれて/○×大学を/卒業後/公務員に/なった。

「僕は」は文節単位で言うなら「なった」に、連文節で言うなら「公務員になった」にかかっています。他の例も考えてみてください。おおよそ、かかる先が文末かそれに類する位置に来ているはずです。

 ここからなにが言えるか、これこそが重要です。助詞の「は」が遠くにかかる意味合いを持つということは、読点を打つ必要性がないことを意味します。読点なしに文の意味が一つに定まるからです。賢明な読者の皆さんは「助詞の「は」が遠くにかかる意味合いを持つということは、読点を打つ必要性がないことを意味します。」と言っているこの文章そのもので「は」の後に読点がついていることに気づかれるでしょう。この文章のように主語が長くなる場合、そして「には」という形を取る際には、「は」の後に読点をむしろ打った方が文章が読みやすくなります。以上、助詞の「は」にフォーカスして、読点の打ち方を紹介しました。

 もう少し続きます。ここまで読んでくださった方の中には思うところある方がいるかと思います。おそらく、それは間違っていません。読点の打ち方に厳密なルールがないからです。言ってしまえば「読み易ければ」いいわけです。ただし、読点の多い文章は稚拙な印象を与え、読みづらくなります。例をもとに、読点の減らし方について整理しましょう。

僕は、パソコンを立ち上げると、ゲームを開き、そのままずっとプレイし続けてしまった。

少し読点が多すぎます。読点を減らすには、「主語を書き換える」ことが重要です。

パソコンを立ち上げ、ゲームを開いた僕は、そのままずっとプレイを続けてしまった。

地味ながら、読点が減りました。主語に関する説明を主語よりも前に持っていくことが肝心です。It is that構文の書き換えみたいなものです。こうした主語の変換は、書いてみた文章を不自然に感じた時にそれを解消するために用いられる常套手段です。ページの最後に練習問題を掲載しますので、ぜひ練習してみてください。

制覇鍛錬〜練習問題〜

 問.以下の文章を「きれいな形」に直しなさい。主語と述語の関係性と、読点の打ち方に注意すること。

僕は、高校を卒業するために、必要なテストを受けた。どんなテストかというと、数学と英語と国語があるテストだ。僕は、数学のテストが始まった時、緊張のあまり手が震えてしまって、まともに問題を解けなかった。国語では、挽回し、数学で失った分を国語では取り返すことができた。英語の点数は、リスニングは難しかったが、文法は、よく勉強したおかげで、良い点数だった。

【解答】

(是非コメントであなたの答案を送ったください。僕のよりも良い場合や特筆すべきものが有れば記事で紹介します。)

高校を卒業するために必要なテストを受けた。そのテストは数学と英語と国語から構成される。数学のテストが始まった時、緊張のあまり手が震えてしまって、まともに問題を解けなかった。数学で失った分を国語では挽回し、取り返すことができた。英語では、リスニングこそ難しかったが、よく勉強した文法は良い点数を取れた。

貫通錯誤
カードゲームとボードゲーム(ゴールデンエッグラー,mtg,シャドバ,Blade Rondo,自作など)を嗜んでいます。カードゲーム、音楽、動画についてなどと、根強いファンを誇りたいショートエッセーの現代錯誤という連載を書いていきます。
noteでも(ほぼ同じ内容を)公開しています。⇒https://note.com/sakugo_suzuko

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