シュトラウス兄弟の隠れた名作『祖国行進曲』

こんにちは、雨でテニスもゴルフも出来なくなったIBKです。

今回は音楽紹介ということでヨハン・シュトラウス二世ヨーゼフ・シュトラウスの兄弟による楽曲、祖国行進曲(ドイツ語題:Vaterländischer Marsch)』を紹介しようと思います。この祖国行進曲、なぜか知名度がものすごく低いのが現実です。音源も2012年のニューイヤーコンサートのものとスロヴァキア放送交響楽団のものしか知られていません。2012年のウィーンで一瞬知られたように思いましたがその後ほとんど広がることはありませんでした。

この音楽の成立は19世紀中ごろ、まだオーストリアがヨーロッパの列強国、オーストリア帝国だった時代に遡ります。1859年、オーストリアは第二次イタリア独立戦争に参戦していました。当時のウィーンではこの戦争に対する不安感が溜まっており、これを打開すべくウィーンのZum Sperlではダンスパーティが頻繁に行われました。その中で演奏されたのがこの祖国行進曲でした。

祖国行進曲はワルツ王と呼ばれたヨハン・シュトラウス一世ラデツキー行進曲のモチーフが頻繁に使用されています。特に前奏部分などはまさにラデツキー行進曲と同じです。ラデツキー行進曲も1848年のイタリア革命にかかわる楽曲ですから時代背景はそっくりです。また現代もそうであるようにラデツキー行進曲はウィーンでも大人気の曲でした。そのようなこともあり、ラデツキー行進曲のモチーフを頻繁に取り入れたのでしょう。

祖国行進曲にはラデツキー行進曲だけでなくベルリオーズのラコッツィ行進曲や、現代のドイツ国歌のモチーフも使われています。ドイツ国歌の音楽はオーストリア帝国の国歌でもあったためここで使用されています。これらの曲の原曲はハイドンの神よ、皇帝フランツを守り給え(ドイツ語題:Gott erhalte Franz den Kaiser)』であり、神聖ローマ皇帝に捧げられた曲です。その後神聖ローマ帝国の国歌となりました。このあたり世界史を学ばれたことがある方は親近感を感じられるのではないでしょうか。

ここまで当時のオーストリアの文化と情勢を映しだした楽曲は無いでしょう。また複数の異なる楽曲を組み合わせ行進曲という枠組みに抑え込んだシュトラウス兄弟はまさに天才と言えるでしょう。ヨハン・シュトラウス二世は「美しき青きドナウ」や「トリッチ・トラッチ・ポルカ」、ヨーゼフ・シュトラウスは「鍛冶屋のポルカ」や「天体の音楽」などが有名ですが、祖国行進曲もこれらに劣らない魅力があります。ぜひ一度聞いてみてください。

ではではー

IBK

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