化学アレルギーへの処方箋#11 酸化の対義語は還元

連載第11回です。

前回は酸塩基の定義や反応について扱いました。
気になる方は化学アレルギーへの処方箋#10 酸とアルカリと塩基をご覧ください。
今回は酸化とその逆反応である還元について見ていきます。

始める前に、化学アレルギーへの処方箋#1 化学とは?で説明した、この連載におけるアンダーマーカーの使い方を確認しておきます。
青アンダーマーカーが引いてある部分は重要な内容です。ここだけでも理解していただけたらと思います。
赤アンダーマーカーが引いてある部分はプラスαの内容です。化学アレルギーの方は飛ばしてもらって大丈夫です。

では早速始めていきましょう。
第11回のテーマはこちらです。

酸化って化学反応は何?

酸化と還元の違いやその反応を説明していきます。
頑張っていきましょう!


よく金属が「錆びる」と言いますよね。
これは果たして何事でしょうか。

錆びるとは酸化の1つです。
酸化も何かと耳にする言葉かと思います。
食べ物とかに「酸化防止剤」ってやつが入ってますよね。
では酸化とは何でしょうか?

酸化と聞くと酸素と反応するのか?と思う方が多いと思います。
これはあながち間違っていません。
例えば鉄が錆びると言う時、鉄は酸化鉄になっています。
これは鉄と酸素が反応している状態です。
しかし酸素と反応しなくても酸化と呼べる場合があります。
酸化の究極的な定義は「電子を失う」です。
そして普段酸化を判断する際は「酸化数」を用います。

酸化数とはそれぞれの原子がどれだけ酸化しているか判断する値です。
簡単に扱うのであれば
①全体で和は0
②酸素原子は-2
③水素原子は+1
に従うだけで計算できます。
例えば酸化鉄(Ⅱ)の化学式はFeOです。
まず②より酸素原子の部分の酸化数は-2です。
そして①より全体で0、すなわちFeの酸化数とOの酸化数の和が0です。
Oの酸化数は-2だと分かっていますから、Feの酸化数は+2であると分かります。
ではもしFeの酸化数が+3になったらどういう意味でしょうか?
酸化数が大きくなっていますから、これが「酸化した」ということになります

では酸化とはどのような時に起きるのでしょうか。
実は酸化は常に同時に起こる逆反応が存在します
それが還元です。
還元は「電子を得る」ことであり、酸化数が小さくなると還元したと言えます
酸化と還元は常に同時に起こり、同じだけの数の電子が移動します(同じだけ酸化数が変化します)。
つまり酸化と還元は酸化しやすい物質(=電子を失いやすい物質)と還元しやすい物質(=電子を他の物質に与えやすい物質)が共存することで電子が移動し起こります

酸化しやすい物質,還元しやすい物質の区別は”半反応式”というもので行います。
しかしここは厄介且つただの暗記要素なので割愛します。

重要なのは酸化数が変化していることを確認して「何が酸化したか、何が還元したか」を判断することです。
試しに次の反応を考えてみましょう。

これはアルミニウムと水(正確には高温の水蒸気)の反応です。
左から順に酸化数を考えていきましょう。
まずアルミニウム(Al)です。
これには水素も酸素もありません。
ですからルール①に従えばいいだけであり、酸化数は0だと分かります。
次に水です。
これは②,③に従うだけで自然と①を満たします。
よって水素の酸化数が+1、酸素の酸化数が-2となります。
続いて酸化アルミニウムです。
名前からアルミニウムが酸化していることは分かるでしょう。
実際に酸化数を考えてみると、酸化数-2の酸素が3つありますから合計で-6です。
①のためにアルミニウムは2つで+6を達成する必要があり、すなわちアルミニウムの酸化数は+3だと分かります。
0が+3になった、ということでやはり酸化していましたね。
最後に水素です。
ここで水素の酸化数を+1とするとどうしても①を達成できなくなります。
しかし実は①は③より優越するため、この水素の酸化数は0になります(酸素分子の場合も同様です)。
すると水素は+1が0になった、ということで還元しています。
さらにこの水素には3という係数が付いているため酸化数の変化は全体で-3です。
アルミニウムは+3でしたから、全体で同じだけ酸化され還元されたと分かりました。

初めて見ると小難しく感じるかもしれませんが、慣れれば単純です。
①~③とにらめっこしながら上の文章を読んでみると段々分かってくると思います。
諦めず是非理解していただきたいです。


如何でしたか?
半反応式を覚えると酸化しやすい物質はどれで酸化すると何になるのか、また逆に還元しやすい物質はどれで還元すると何になるのかが分かります。
つまりパズルピースを覚えるのと同じですね。
パズルピースは本質ではなく、大事なのはパズルそのものです。
ここまでで酸化還元に関するパズルのやり方は一通り分かっていただけたかと思います。
前回扱った酸塩基の反応と同じく酸化還元は非常に身近なものですが、具体的な仕組みはやや難しいです。
しかし逆に分かると嬉しいものですよ。

さて、化学アレルギーの処方箋は計11回毎週投稿してまいりました。
今までに扱った内容を集めると実は高校で学ぶ「化学基礎」という分野の範囲を一応全て網羅したことになります(さらっと流している点も多いですが)。
そこで今回を1つの区切りにしたいと思います。
またいつか気が向いたら投稿するかもしれませんが、一旦本連載は終わろうと思います。
今まで読んでいただいた方はありがとうございました。
まだ読んでないという方は是非過去記事もご覧ください。
少しでも化学アレルギーが治ればいいなと思います(いや無理だろと思ってます)。
では、終わります。

今回のまとめ

  1. 物質が電子を失うことを酸化と呼ぶ
  2. 物質が電子を得ることを還元と呼ぶ
  3. 酸化と還元は常に同時に起こる
  4. 酸化の度合いに関しては酸化数という値を計算して判断する
  5. これで一旦連載終わり!

かりふぉるにあ
パッと見テキトーに見える記事ですが、本当にテキトーです。基本的に口語調です。割と何でも書きますが、趣味の範囲は数理科学とエンタメとアイドルあたりです。毎週月曜更新「かりふぉるにあからの挑戦状」毎週土曜更新「化学アレルギーへの処方箋」

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