化学アレルギーへの処方箋#9 化学反応の1歩目

連載第9回です。

前回は分子とは何か説明しました。
気になる方は化学アレルギーへの処方箋#8 分子を定義するをご覧ください。
今回から化学の神髄である”化学反応”とは何か説明していきます。

始める前に、化学アレルギーへの処方箋#1 化学とは?で説明した、この連載におけるアンダーマーカーの使い方を確認しておきます。
青アンダーマーカーが引いてある部分は重要な内容です。ここだけでも理解していただけたらと思います。
赤アンダーマーカーが引いてある部分はプラスαの内容です。化学アレルギーの方は飛ばしてもらって大丈夫です。

では早速始めていきましょう。
第9回のテーマはこちらです。

化学反応って何?

化学反応という言葉はよく聞くと思いますが、なんなんでしょうか。
頑張っていきましょう!


“化学反応”という言葉は何かと耳にすると思います。
しかしこれに化学の勉強で出会うと嫌な気持ちになるものです。
化学の神髄ですが難しいものであることも確かです。
何といっても化学反応を扱うことこそが化学ですからね。

まずは化学反応の辞書的な説明から見ていきましょう。

物質が,自身または他の物質に作用して,元の物質とは異なる物質を生成する変化
原子間の化学結合の切断と新たな化学結合の生成を伴う変化であり,元の物質がもっていた固有の性質が変わる.酸・塩基反応や酸化還元反応,沈殿生成反応や分解反応などがある.化学反応をする物質を反応物,化学反応の結果生じる物質を生成物という.

旺文社 化学事典

簡単に言えば「ある物質が違うものになる現象」のことです。
気を付けたいのは”物理変化”との違いです。
物理変化は基本的に「ある物質が違うものになることなく性質を変化させる現象」のことです。
つまり水が氷になる現象は物理変化です。
化学反応では完全に違うものになります

化学反応は実に不思議なものです。
僕は人に化学の何が面白いか聞かれた時によく次のような答え方をします。
「普通物と物がぶつかって別のものに変化するなんてありえないのに、化学反応はそれが起きてるんだよ??すごくない??」です。
これに尽きます。
鉛筆と消しゴムがぶつかっても筆箱にはなりませんが、水素と酸素がぶつかると水になります。
ミクロな視点だからって受け入れていますが、変な話ですよね。

さて、化学反応とは何かについて分かっていただけたでしょうか。
次に考えたいのは化学反応が起こる時に影響を与えているものです。
化学反応は基本的に物質同士(すなわち分子同士)がぶつかって起こると説明しました。
この時ぶつかるのはどこでしょうか?
当然その分子の1番外側のはずです。
分子は原子からなりますが、原子の1番外側は何だったでしょうか?
詳しくは化学アレルギーへの処方箋#4 原子はどう出来ている?で説明しましたが、1番外側は電子です。
つまり分子がぶつかって化学反応が起こる時、電子同士がぶつかっている訳です。

電子がぶつかることで化学反応が起こるということは、電子の様子によって化学反応の起こり方が決まっている訳です(もちろん他の要因も大きいですが大きな影響力を持つということです)。
ここで思い出して欲しいのが周期表の”族”です。
同族の元素は性質が似ていましたが、これはこのような理由によります(前にも同じような説明をしましたが)。

最後にどのように化学反応を書くかです。
化学反応は化学反応式というものを使って記述します。
例えば以下のようなものです。

矢印の左側に反応物を、右側に生成物を書きます
物質を書く時は常に分子式(or組成式)で書きます。
また、左右の原子の数が等しくなるように係数を書きます
上の例は水素と酸素が反応して水が生成する化学反応です。
処方箋のテーマ的に化学反応式の細かい書き方などには触れません。
化学をやっている人たちが化学反応を扱う時にこのような記法を使っているんだな、とさえ思っていただければ。


如何でしたか?
よく聞く”化学反応”の正体が分かっていただけたでしょうか。
化学反応とは全く別の物質に変わることです。
よく「○○さんと△△さんが力を合わせたら面白い化学反応が起きそう!」などという表現を耳にしますが、「いやそれ化学反応じゃないやろ」とツッコんでみてください。多分嫌われます。
似たようなことを大昔に記事にしたことがあります。
興味を持った方は是非ご覧ください。
(添付前に読み返したんですが、地獄のような文章でした。如何にも初期らしいですね。3本目です。)

次回以降も化学アレルギーに関係なく読んでいただけたら幸いです。
では、終わります。

今回のまとめ

  1. 化学反応はある物質が全く違う別の物質になる現象のこと
  2. マクロな視点だとあり得ないことがミクロな視点では起きている
  3. 化学反応を支えているのは外側にある電子
  4. 化学反応は化学反応式という一定のルールを持った式によって記述される
かりふぉるにあ
パッと見テキトーに見える記事ですが、本当にテキトーです。基本的に口語調です。割と何でも書きますが、趣味の範囲は数理科学とエンタメとアイドルあたりです。毎週月曜更新「かりふぉるにあからの挑戦状」毎週土曜更新「化学アレルギーへの処方箋」

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