ふぉんとーく #6 源ノ角ゴシックの改変フォント篇

お久しぶりです、まぐろかもにくです。ここ数日様々な用事でバタバタしていたため、記事の更新がおろそかになってしまいました。すみません。さて、今回は前回ご紹介した「Noto Sans」や「Noto Serif」を改変したフォントたちをご紹介します。

まず、Noto SansやNoto Serifとはなんぞや、という方は前回の記事をご覧ください。なお、今回の記事タイトルにある「源ノ角ゴシック」=「Noto Sans」、「源ノ明朝」=「Noto Serif」と捉えていただいて結構です(厳密には少し違いますが字形を含めだいたい一緒)。

源ノ角ゴシックを改変したフォントの中でも特に使いやすいフォントを厳選してご紹介します!すべてフリーフォントです!

源暎フォント

源暎フォント置き場にて配布されています。趣味としての創作活動での使用が多いイメージがあります。それもそのはず、源暎フォントの多くはマンガ制作に合わせて作られています。しかし、マンガ制作以外のシチュエーションでも使いやすい優秀なフォントが多く揃っているので、それらをご紹介します。

源暎ラテゴ・源暎ラテミン

メルヘンだけれどもメルヘンすぎない、かわいらしいフォントです。個人的にはフォントワークスの「スキップ」というフォントと少し似ていると思っています。

https://okoneya.jp/font/genei-latin.htmlより引用

可読性が高く、癖はそれなりに強い反面主張はあまり強くないので、見出しだけでなく本文にも適しています。かわいらしい雰囲気を出したいけれど、文字そのものが主役になるのは嫌という時にはこのフォントがうってつけです。

なお、源暎ラテゴは漢字が通常のゴシック体で、ラテミンには縦画の太いメルヘンな形の漢字が収録されているという差があります。

源暎こぶり明朝

源ノ明朝を縦書き小説を書くのにより適した形に加工した明朝体です。

読書の邪魔をしない空気のようでもあり、文章に何も味付けしない無味無臭な平仮名

https://okoneya.jp/font/genei-koburimin.html

を目指して開発されました。

源ノ明朝の癖のなさはそのままに、字面(字面の定義にも触れた第3回はこちら)が小さめなオリジナルのひらがなを加えるなどされています。

源ノ明朝から源暎こぶり明朝への改変の中で、個人的に最もありがたいと感じたポイントは英数字の改変です。源ノ明朝の英数字の字形、特にウロコの形は一般的な明朝体とかなり異なります。少し直線的でどこか無骨に感じられるため、筆者は源ノ明朝の英数字に軽い違和感を感じていました。一方、源暎こぶり明朝の英数字は曲線的で日本で広く普及しているMS明朝や游明朝等と似た見慣れた形をしています

右が源ノ明朝、左が源暎こぶり明朝
https://okoneya.jp/font/genei-koburimin.htmlより引用

源暎ちくご明朝

源暎ちくご明朝は源暎こぶり明朝同様に空気のようで読書に適した明朝体を受け継ぎつつも「オールドスタイルな美しさの実現*1」を目指して開発されました。

目標の通り、古典的流麗な字形をしています。そのため、長文レトロな雰囲気を醸し出したい時など文字自体を主役にしたくない場合や、文学的な事柄を著す場合に最適のフォントです。ひらがなやカタカナの字形は非常に古典的ですが、漢字も含めた文になると古典っぽさはそこまで強くなく、かつ読みやすいので、歴史的な事柄以外を扱う時にも使いやすいです。

*1 https://okoneya.jp/font/genei-chikumin.htmlより引用

鉄瓶ゴシック

太く、文字の輪郭がゴツゴツと波打っているフォントです。牧歌的な雰囲気を持つとともに歴史を感じさせます。

物理的な意味でも心理的な意味でも「あたたかさ」を感じさせたい場面での使用がおすすめです。基本的にゴシック体より明朝体の方があたたかさを演出できる傾向にあります。しかし、鉄瓶ゴシックは太字のゴシックなのにもかかわらず、輪郭の凹凸によって明朝体顔負けのあたたかさを演出します。ゆえにこのフォントは見出し等目立たせたい部分かつあたたかさを演出したい時に最適です。

源柔ゴシック

源ノ角ゴシックに角を丸める加工を施した丸ゴシックです。名前の通り柔らかい雰囲気をしています。前回述べたように源ノ角ゴシックは癖のない優等生のような字形をしています。源柔ゴシックも源ノ角ゴシックから癖のない誰が見てもきれいな字形を受け継いでいます

7種類のウエイトに、角の丸みの度合いが3段階の21種類が用意されています。そのため、かわいらしさを強めたい場合は丸みの強いものを選ぶ、というように演出したい雰囲気に合わせて使い分けられます。

フリーフォントの丸ゴシックはそもそも少ないうえに、そのほとんどは癖が強くて使うのに工夫がいるフォントです。また有料フォントの丸ゴシックにも、使いやすさはフリーフォントを大きく上回るものの、癖が強いものがかなり多いです。しかし、源柔ゴシックは癖が少ないうえ無料で使用できます。フリーの丸ゴシックや主張の強すぎない丸ゴシックを使いたい場合、源柔ゴシックは確実に良い選択肢になります。

おわりに

繰り返しになりますが、ここまで紹介してきたフォントは全て源ノ角ゴシックないし源ノ明朝を加工して作られています。同じフォントからここまで個性的なフォントがいくつも生まれるのは興味深いですね。

今回紹介した中でも筆者が特に好きなのが最初に紹介した「源暎ラテゴ・ラテミン」と「源柔ゴシック」です。個性がありながらも高い汎用性を持っている非常に使いやすいフォントだからです。

そして基本的な話になりますが、フォントデータは勝手に改変してはいけません。しかし、今回紹介するフォントたちの改変前の源ノ角ゴシックと源ノ明朝はオープンソースフォントです。オープンソースとは「誰もが、無償で自由に利用、表示、改変、複製、頒布等ができる」ことを意味します。もっとも、利用に際して発行元の情報を明記する等の条件が付加されていることがほとんどですが。今回扱うフォントはすべて源ノ角ゴシックや源ノ明朝の改変が許されたから生まれたと言えるでしょう。

今回紹介したフォントはすべて無料で使用できる上に高品質なフォントばかりなので、ぜひ利用してみてください!

かもにく
かもにくと申します。好きなことを気ままに綴っていきます。普段はWebサイトを作ったりドラマを見たり...
文字と地図と文房具が好き。エンタメは鎮痛薬。

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